日立ビートウォッシュ(BW-V80F)1ヶ月使用レビュー
選びに選び抜いた機種
これまで何度か洗濯機を購入してきましたが、毎回洗濯機を購入するのは引っ越したとか洗濯機が壊れたなどのやむに止まれない理由がありました。
洗濯機を選ぶ充分な時間もなかったため、いつもあまり考えずに洗濯機を選んできました。
しかし今回は国産全ての洗濯機を視野に入れ、充分に時間をかけて、機種選定から購入店まで徹底的に選び抜きました。
その上で選んだのは、日立のビートウォッシュBW -V80Fでした。
洗剤自動投入や乾燥機能の無い(簡易乾燥はあります)シンプルな機種ですが、日立の売りであるビートウォッシュ洗浄やナイアガラすすぎの機能は備えています。
実際に使ってみての感想、良い点や悪い点など述べさせていただきたいと思います。
立体的なパルセーター(羽根)の形状
洗濯やすすぎの際に水流を起こす、洗濯機の底にある回転体のことをパルセーターと言います。
通常パルセーターの羽根は4本から6本ですが、ビートウォッシュの場合は2本だけです。
日立は自社のパルセーターを「ビートウィングX」と呼んでいます。
このビートウィングXこそがビートウォッシュの象徴と言ってもいいでしょう。
ビートウィングXは写真を見てわかるとおり立体的な形状になっています。
今は無くなってしまいましたが、昔日立に「からまん棒」という洗濯機がありました。
多くの洗濯機がパルセーターで水流を起こす方式であることに対してからまん棒は洗濯槽の真ん中にある回転する棒についている羽根により洗濯物を揉み込む方式でした。
当時何度かコインランドリーで使ったことがありますが、本当に洗濯物が絡まないことに感動した記憶があります。
その後何故か市場からからまん棒が無くなってしまったことを残念に思っていましたが、日立はからまん棒を諦めていなかったのではないかと思います。
ビートウィングXは回転で水流を起こすだけのものから進歩し、からまん棒のように洗濯物を揉み込む要素が取り入れています。
ナイアガラビート洗浄
日立のHPにナイアガラビート洗浄の解説が掲載されています。
ビートウィングX(回転羽根)で[押して]+[たたいて]+[もみ洗う]
日立HPより
低水位の状態で高濃度の洗剤液を浸透させると説明されています。
低水位の状態とは、指定された水量(38Lなど)よりも少ない水量ということです。
洗濯物の量に対して水量が少なければ、攪拌が不足し洗濯物が絡まってしまいそうですが、ビートウィングXの形状と動きによりそうなること防いでいるのです。
洗浄運転中の洗濯槽内の動きを動画撮影してみました。(すすぎと脱水は無し)
ビートウィングXの動きを見るため洗濯物を入れず、代わりに水流の動きをわかりやすくするためにゴム風船を投入してあります。
動きを抜粋すると以下のとおりです。
1:38 注水開始
3:30 洗浄開始
4:27 ビート洗浄開始
5:27 注水終了
7:23 回転パターン変更
8:24 終了メロディ
洗浄時間は3分を選択したのですが、注水完了前の2分間にも洗浄の動作を行なっていることがわかりました。
つまり、この2分間は低水位による高濃度洗浄液での洗浄になっているわけです。
さらに最後の1分間には回転のパターンが変わり、小刻みになっています。
想像ですが、絡みを防止をしているのではないかと思います。
ナイアガラすすぎ
ナイアガラすすぎをするためには自動的にすすぎ回数が2回に設定されます。
水の使用量はコストに直結するため、なるべくは使用したくない機能ではあります。
実際にどのくらいの水を使用しているかを調べてみました。
調査方法は選択前後の水道メーターの数字を見るという方法です。
上記のメーターの場合、開始前が871.933m3、終了後が872.139m3なので、差し引き0.206m3となり、206Lの水が使用されたことになります。
そのようにして計測した水の使用量は以下のとおりでした。
いずれも指定水量は38Lです。
1回すすぎ:101L
2回すすぎ:129L
2回すすぎ(ナイアガラ):162L
ナイアガラすすぎはやはり大量の水を使うことがわかったので、滅多なことでは使えません。
自分の場合はジーンズや柔術着など厚手のものを洗う場合で、しかも粉石けんを使用した時に限ろうと思います。
普通の合成洗剤の場合は1回すすぎで充分だと思います。
洗濯物が絡まない
購入前に最も期待していた機能は実はこれでした。
これまでは洗濯物が絡むのは当たり前のことだと思っており、絡みやすそうな長袖のシャツなどはひとつずつ洗濯ネットに入れていました。
とても面倒でしたが、そこまでしてもネットごと絡まることもあり、その度にがっかりしていました。
洗浄力やすすぎの力を高めるために絡まないことは非常に大切なことです。
仮に洗浄力だけが高かったとしても絡んでしまっては汚れ落ちもすすぎも不完全になってしまうのは明白です。
ビートウォッシュの場合は、これまで一度も洗濯物が絡まったことがありません。
理由を探るため、洗濯機の蓋にカメラを設置し、洗濯機内の動きを撮影してみました。
動きを見てみると、洗浄中もすすぎ中も必要以上に洗濯物が回転することがありません。
回転にはよくブレーキがかかっているためよく攪拌されています。
脱水の後には洗濯物をほぐしす動作をしていることもわかりました。
粉せっけんを使用した場合
粉石けんは優れた洗浄力を持つ洗剤ですが使い方が難しい一面があります。
柔術着のように生地が厚いものを洗う場合、写真のように石けんカスが残ってしまうことがあります。
これはあくまで石けんカスであり肌に悪影響はありませんが、きれいになっているに越したことはありません。
石けんの洗濯にこだわる場合は「粉末洗剤」「念入り」「ナイアガラすすぎ」を併用すれば大丈夫です。
その場合はコストは無視ということになりますが、こだわりの洗濯のためにはやむを得ません。
コスト
洗濯時にかかるランニングコストには以下の3つが挙げられます。
・水道代
・電気代
・洗剤代
3つのうちで最もコストがかかるのは、ダントツで水道代です。
水道代は平均85Wで30分動かしたとしても1円程度なので無視します。
洗剤代は1度に30g使うとして5円程度ですが、洗剤は節約しようがないため考慮しないこととします。
価格,comに記載されている「1回あたりのコスト(目安)」によるとBW-V80Fの場合24.6円となっていますが、簡単に言える数字ではないと思います。
電気料金と違い、水道料金は住んでいる地域の自治体によって大きながあります。
例えば全国で最も安い山梨県富士河口湖町と北海道夕張市では約8倍の差があります。
またほとんどの自治体では使用量が多くなるほど料金が高くなる累進性をとっているため洗濯時の水道料金は簡単に言えるものではありません。
ここではとりあえず、最も人口が多い東京23区の1ヶ月の水道使用量が20Lの場合(244.2円/m3)で計算してみます。
1回すすぎ:101L:24.6円
2回すすぎ:129L:31.5円
2回すすぎ(ナイアガラ):162L:39.6円
価格.comの数字は多少安めにであるも遠からずだと思います。
ちなみに私が住んでいる横浜市の場合は、これより3割程度安い料金になります。
ちょっとだけ良くない点
なかなか洗濯が始まらない
電源を入れてスタートボタンを押すと、数秒で洗濯水量が判定されます。
ところがそこから1分半以上注水が始まりません。
何を考えているのでしょうか?
ユーザーが洗剤を準備する時間を長めに取っているのかと思いましたが、蓋が開いていてもエラーが出るわけではなく蓋を閉めれば動作を開始するわけですからそれは違うようです。
動いているところを見れない
洗濯時に蓋が開いているのは危険とされるため、最近の洗濯機は安全装置として洗濯中に蓋がロックされるようになっています。
蓋が透明であれば中を確認することができますが、ビートウォッシュの蓋は透明ではありません。
洗濯しているところを見たいのいうのは単なる願望ですが、同じように思っている人は多いようで、価格.comのレビューには何人もの方が洗濯中の中を見られないことを残念だとつぶやいています。
しかし良い方法を見つけました。
この部分に磁石を置くことにより、蓋が閉まっているよう偽装することができます。
ただし、脱水やすすぎの際にはこの方法は使えません。
水量のステップが荒い
水量は22L、38L、46L、52L、62Lの5段階になっています。
洗濯時水量は洗濯物の重さにより自動で判断されるのですが、22Lでいけると思ったのに38Lと判断されるような場合があります。
その際は、ユニクロのエアリズム1枚とか靴下1セットを取り除いて再計測すると22Lになることが多いです。
ということは、水量を確認しないで洗濯していたらエアリズム1枚のおかげで倍近くの水量を使っていたことになります。
水量のステップはもっと細かくして欲しいと思います。
特に46Lと52Lの差が6Lしかないのに、22Lと38Lの間が16L差もあるのはバランスが悪いです。
まとめ
他の洗濯機を比べることはできませんが、今まで使っていたものと比べると格段に良い洗濯機であることは間違いありません。
例えば靴下を洗濯する際、これまでは事前に足の裏の部分の汚れをコロコロで取っていましたが、今ではやっていません。
それだけ洗浄力が上がっているのだと思います。
洗濯物が絡まないことは本当に嬉しいです。
それにより洗浄やすすぎの能力が上がることはもちろんですが、何よりも精神衛生上良いことです。
洗濯機の近くを通ると新品らしい良い匂いがするのがちょっと嬉しいです。
最後の洗濯機になるかもしれないので、大切に使いたいと思います。