Tシャツの脱ぎ方が男女で違う「誰も知らなかった」本当の理由
女性と男性のTシャツの脱ぎ方の違い
みなさんは、自分がどうやってTシャツを脱いでいるか意識したことがありますか?
Tシャツの脱ぎ方には何通りかの方法がありますが、代表的な脱ぎ方が2つあります。
男脱ぎ:両手で頭のうしろ生地を掴んで引っぱり上げる


ジェンダーレスの観点からは不適当な言い方かもしれませんが、ここはわかりやすく「女脱ぎ」「男脱ぎ」とさせていただます。
女性は女脱ぎをする場合が多く、男性は男脱ぎをする場合が多いのですが、なぜそのような違いになったのか不思議に思っていました。
男脱ぎでは加圧シャツが脱げない
私がTシャツを脱ぐ方法について考えるきっかけになった出来事がありました。
スポーツウェアの一種である「加圧シャツ」というものがあります。
体にぴったりと密着する特殊な素材で作られたものです。
加圧シャツを脱ごうとしていつものように首の後ろの生地を掴んで引っ張っても、胴体部分の生地が全く動かないことに驚きました。
素材が体に密着しているため、普段行っているような脱ぎ方ができなかったのです。
最終的に私が行ったのは、女性がよくやるように、下からめくり上げる方法でした。
そしてそのときに肩周りに窮屈さとわずかな痛みを感じました。
2016年イギリスでネット論争に
Tシャツの脱ぎ方についてググっていてよく出てくるのは、2016年にイギリスで起ったというネット論争です。
一人の女性がSNSに男性のTシャツの脱ぎ方が変だと書き込んだことがきっかけでした。
この時は男女のTシャツの脱ぎ方が違う理由は、Tシャツの縫製の仕方が違うからと結論づけられました。
女性用のTシャツは脇の下の部分が狭く作られているので、男脱ぎをしようとすると肩の部分が抜けないというのがその理由です。
前述した、私が加圧シャツを脱げなかった原因と同じです。
また、男性のTシャツは丈が長く作られているので、女脱ぎには適していないということも指摘されていました。
つまり、裾にかけた手を上まで上げても丈が長すぎて頭が出ないというのです。
Tシャツの縫製の違いで片付けていいのか?
しかし、私はこの問題をTシャツの縫製の違いということで片付けて良いのだろうかと疑問に思いました。
女性が女脱ぎをする理由はある程度納得できますが、男性のTシャツが女脱ぎしにくいほど丈が長いとは思えないのです。
女性が男脱ぎをしない、また男性が女脱ぎをしない納得のできる理由は他にあるはずです。
女性が男脱ぎをできない2つの理由
女性が男脱ぎをしない理由には、縫製の違い以外にも明らかなものがありました。
ひとつは女性が男性と比べて髪の毛が長い場合が多いため、男脱ぎをするときにTシャツと一緒に髪の毛を掴んでしまい、髪の毛が抜けてしまう可能性があるからです。
もうひとつは、男脱ぎは女脱ぎに比べてより多くの筋力を必要とするため、肉体的に楽である女脱ぎを選択する傾向があるからです。
このことは、後述する九州大学院の調査により明らかになっています。
男性が女脱ぎをできない原因は肩関節の可動域が狭いから
ではなぜ男性の多くは女脱ぎをしないのでしょうか?
それはしないのではなく、できないのかもしれません。
私のまわりの男性には、かなりの割合で女脱ぎを”できない”人がいます。
ネット情報を探していると、Tシャツの脱衣方法と肩関節の動きを調査した論文(報文)がありました。
19名の高齢女性の肩関節の動きとTシャツの脱ぎ方を詳細に調べたものです。
男女の違いを調査したものではありませんが、そこにはこの問題を解決する重要なヒントがありました。
全9ページのうち一部を引用させていただきます。
※文中の「パターン2」というのはいわゆる女脱ぎのことです。
・・・パターン2は最も多く行われている脱衣方法であるが,大きな肩関節角度が必要である。・・・
九州大学大学院芸術工学府、同院芸術工学研究院の論文から引用
・・・パターン2で脱衣することができないという者が,加齢により肩関節可動域が減少する高齢群に現れると推測される。・・・
・・・肩関節の痛みや障害など腕上げに支障がない高齢者にとっては,脱衣が容易な方法であるパターン2を日常の脱衣方法として選択していると推測される。・・・
女脱ぎを行うには肩関節の可動域の広さが必要だったのです。
男性は、一般的に女性よりも体が硬く、柔軟性に劣る傾向があるため、無意識のうちに楽な男脱ぎを選ぶことが多いのではないかと推測されます。
まとめ
これまで「男女のTシャツの脱ぎ方の違いはTシャツの縫製の違いによる」ということがネットでは定説となっていましたが、女性にとってそれは原因というよりきっかけと言えるでしょう。
男性にとってはきっかけになっているかどうかも疑問です。
私が考える本当の理由をまとめると以下の通りです。
女性が男脱ぎしない理由
・長い髪の毛が引っ張られてしまう
・男脱ぎの方がより大きな筋力が必要
男性が女脱ぎしない理由
・肩の可動域が狭いため
さらに女の子は母親の、男の子は父親の脱ぎ方を模倣することが多いためにさらに分化が進んだのではないかと思われます。
女脱ぎと男脱ぎのどちらが優れているか考えた場合、女脱ぎに軍配が上がると思います。
理由は以下の2つです。
・Tシャツの首周りが伸びない
・余分な筋力を使わない
よって女性が男脱ぎをできなくても問題はありませんが、男性が女脱ぎをできないとすれば、肩関節の柔軟性に関して問題があると言えます。
一度失われた肩関節の柔軟性は取り戻すことが難しいので、そうならないよう努力することが重要です。
男性は若いうちから女脱ぎをして肩関節の柔軟性を保った方が良いでしょう。
女脱ぎをしているだけで肩関節の柔軟性を保つことができるとまでは断言はできませんが、少なくとも肩関節の可動域減少に早く気づくことができるでしょう。