ズルトラ難民を救いたい

ズルトラ難民とは

ズルトラとは2013年に発売されたスマートフォン「Sony Xperia Z Ultra」のことをさします。
Z Ultraをズルトラと読みます。

高いスペックと6.4インチという大きなディスプレイを持っていました。

Z Ultraは一部に熱狂的なファンがいたものの後継機が発売されなかったため、買い替えできないユーザーが難民化したのです。

2022年現在、6.4インチを超えるサイズを持つ機種は数多くあります。
しかし、Z Ultraのアスペクト比が16:9であったのに対し、最近のディスプレイはほとんどが18:9、20:9などの細長いディスプレイものになっているため、Youtubeなどの動画や漫画などのコンテンツをカタログサイズほど大きく表示することができないのです。

その辺の事情は別記事で詳しく説明しています。

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後継機が発売されない理由

Z Ultraが売れなかった

ハイエンド機として素晴らしい性能を持ったZ Ultraですが、残念ながら売れ行きは良くなかったようです。

売れなかった原因は、当時としては「サイズが大きすぎた」ということに尽きるでしょう。

スマホが大型化した

発売時の2013年では6.4インチという大きさはズバ抜けたものでしたが、iPhoneX以降のスマホの大画面化により「カタログ値では」特別なものではなくなっていました。

この記事を書いている2022年1月の時点では下記のような大きなディスプレイを持つスマホが発売されています。

・iPhone13 Pro Max:6.7インチ
・Xperia 5 III:6.5インチ
・Galaxy S21 Ultra 5G:6.8インチ
・Xiaomi T11 Pro:6.67インチ
・OPPO Find Find Pro:6.7インチ

いずれも「カタログ値では」6.4インチのZ Ultraよりも大きいのです。
そのためZ Ultraの存在意義は薄れてしまいました。

細長い方がかっこいいという勘違い

iPhoneX以前のスマホは筐体の上下に結構な広さのベゼルがありました。
ベゼルが無くなった現在、かつてベゼルがあったところにはディスプレイが広がっています。
ベゼルがあったスペース分だけ縦方向を短くするという発想は無いようです。

もしかして細長いスマホがかっこいいと思っているのですか?
だとしたら、それは間違っています。

機能美という言葉があります。
機能を追求した無駄のない美しさ」という意味です。
機能よりも見た目を重視した細長いディスプレイに機能美はありません。

機能美を愛したS・ジョブズ氏は細長スマホだらけの現状をどう思っているでしょうか?

新規格「16:9表示サイズ」を提唱

スマホ画面の用途とは?

そもそもスマホのディスプレイには何が望まれているのか考えてみたいと思います。

  1. ブラウザ
    言い方を変えればHP閲覧です。
    ニュース、天気予報、ショッピングなどのアプリも専用のブラウザと言えます。
    コンテンツを構成しているHTML言語は、どのような形や大きさのブラウザにもフレキシブルに対応することができます。
  2. SNS
    Facebook、Twitter、Instagram、LINEなどを利用する場合、縦長の画面は一覧性が良いという意見もありますが、実のところ縦スクロールをすれば事足ります。
  3. 動画閲覧
    ほぼYoutube一択と言えます。
    そしてYoutubeのコンテンツは16:9です。
    16:9以外のディスプレイでは画面の一部が無駄になってしまいます。

ブラウザやSNSが画面アスペクト比にさほど影響を受けないことに対し、動画(Youtube)には16:9のディスプレイが最適なのです。
だとすれば、画面アスペクト比は16:9にするというのが普通の考えではないでしょうか。
ちなみにZ Ultraのアスペクト比は当時のほとんどのスマホと同じく16:9でした。

対角線だけでサイズを決めるのは合理的とは言えない

ディスプレイのサイズは小さなものではスマートウォッチから大きなものでテレビ画面まで、ディスプレイのサイズは全て対角線の長さで表示されています
対角線による表示は、さまざまな縦横比のディスプレイに対応する最大公約数的な指標でした。

テレビジョンの発明以来数十年間はそれでよかったのですが、2017年に問題が発生しました。
細長スマホの元祖であるiPhoneXが現れたのです。

iPhoneXを初めて見たとき「なんか細長い画面だなあ」という感想を持った方が多かったと思いますが、それもそのはずです。
iPhoneXのアスペクト比はこれまでの16:9とは大きく異なる19.5:9(2,436×1,125)というものでした。
画面サイズはiPhone8の4.7インチやplusの5.5インチよりも大きい5.85インチでしたが、Youtubeの動画を思ったほど大きく表示することができませんでした。
左右に余りのスペースができてしまい、画面いっぱいに動画を表示することができなかったのです。

Apple社は「Youtube動画をどれだけ大きく表示できるか」よりも「画面サイズのカタログ値を大きくすること」を重視したのです。

これほどまでに縦長スマホが増えてしまった現状では、ディスプレイサイズを対角線だけで測ることは適切ではありません。

動画の大きさは超重要

Z Ultraよりも「カタログ値が」大きな画面のスマホでは16:9の動画をどれだけの大きさで表示することができるのか計算してみました。(スペックは価格.comから引用しました。)
その結果は以下の通りです。(※矢印の先の数値が16:9動画サイズです。)

iPhone13 Pro Max:6.7インチ→5.73インチ
Xperia 1 III:6.5インチ→5.22インチ
Galaxy S21 Ultra 5G:6.8インチ→5.69インチ
Xiaomi T11 Pro:6.67インチ→5.58インチ
OPPO Find X3 Pro:6.7インチ→5.58インチ

どのスマホもZ Ultra6.44インチをはるかに下回っています。
それどころか6インチを超える機種さえ無いのです。

対角線による画面サイズは16:9動画に対しては意味をなさないことがわかります。

16:9動画をどれくらいの大きさで表示できるかという指標は絶対に必要です。

HD(16:9)動画表示サイズの計算方法

iPhoneXを例に説明します。

iPhoneXの画面サイズは5.85インチですが、表示できる16:9の動画の大きさはそれよりも遥かに小さいものでした。

iPhoneXのディスプレイは2436×1125のうちで16:9動画に使われるのは2000×1125の部分です。
下の図で青く塗った部分になります。

ディスプレイ全体の大きさに対して16:9動画の表示部分がどれくらい小さくなったか計算してみます。
画面サイズを比べるため、画面全体の対角線をXHD表示部分の対角線をYとして長さを比べます。

対角線の長さを求めるために三平方の定理(ピタゴラスの定理)を利用します。

X2=24362+11252
Y2=20002+11252
X=2683、Y=2295

それぞれの対角線の長さがわかったので、Xに対してYがどのくらい小さくなっているか計算します。

2295÷2683=85.53%

ディスプレイ全体の対角線に対して16:9動画サイズの対角線が85.53%の大きさに縮小されていることがわかりました。
その縮小率をカタログ値の5.85インチにかけます。

5.85インチ×85.53%=5.00インチ

iPhoneXの16:9動画サイズは、ジャスト5インチでした。

これはおそらく偶然ではないでしょう。
Apple社はiPhoneXの16:9動画表示サイズを5インチ台にしたかったと思われます。

ズルトラ難民を救うために

Z Ultraの価値がわかるユーザーは過去も現在も少数派です。
今すぐにZ Ultraの後継機が出たとしても販売台数は期待できないでしょう。

縦長スマホでは16:9動画を大きく表示することができないということをユーザーが知ることが先決だと思います。
そのことがズルトラ難民を救う一歩になるでしょう。

Z ultraの6.44インチという大きさは片手で持ててポケットに入るギリギリの幅です。
しかも現在の技術を持ってすれば、ベゼル分だけ全長を短くすることができるのです。

ズルトラ難民を救うため大きな一歩として16:9動画サイズあるいはHD表示サイズという規格を広めることを提唱します。

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ズルトラ難民を救いたい” に対して7件のコメントがあります。

  1. 「帰ってきてズルトラマン」 より:

    この投稿を拝見して深く感動しました。まさに自分の思ってることを事細かく代弁していただいたようです。「真の大画面とはこういうことだ」と、いうことを詳細に分かりやすく解説したサイトはここたけですね。大画面スマホの情報を今後も取りあげてもらえたら嬉しいです。

    1. olivegarlic より:

      理解してくださる方がいてうれしく思います。
      また、私にズルトラ難民という言葉を教えていただいてありがとうございました。
      Z Ultraの後継機が発売されるまで頑張りたいと思います。

  2. 通りすがり より:

    ジョブズの一言さえ無ければ、完全に共感できた記事でした。
    何故にジョブズを引き合いに???

    1. olivegarlic より:

      通りすがりさん、コメントありがとうございます。
      記事に共感していただいたことをうれしく思います。

      ジョブズを引き合いに出した理由は、もしジョブズが生きていたらAppleは細長画面を発売していただろうかということを考えずにいられなかったからです。
      もしiPhoneXの画面が16:9だったら、現在の縦長スマホの繁栄はなかったのではないでしょうか。

      ちなみに通りすがりさんが共感できない部分というのは、下記のいずれになりますでしょうか。
      1. ジョブズも細長画面を支持したと思う
      2. 故人が生きていたらという仮定は意味がない
      3. Appleは嫌いだがジョブズは好き
      4. ジョブズは嫌いだがアップルは好き
      5. Appleもジョブズも好き
      6. Appleもジョブズも嫌い
      7. 上記以外

      よろしければ教えていただけないでしょうか。

  3. n より:

    概ね共感出来る内容だったけれど、もう少し
    ・現在主流の縦長アス比では動画だけでなく、SNSや電子書籍サイトで上がっている漫画も小さく表示されてしまう
    ・故にズルトラ難民はアス比よりも画面幅がベゼル部抜きで80mm以上=ズルトラと同じである事を強く望んでいる
    という点も付け加えておいて頂けると大満足です

  4. バーダック より:

    確かに「細長い方がかっこいいという勘違い」は正しいです。が、やはりそれに慣れてしまった人には、それこそがスタンダードとなってしまいます。結局消費者は生産者にコントロールされるしかないみたいですよね。与えられたものの中から選ぶしかない、という現実がありますし。

    正直、スマホなんて自作パソコンと同じで、特定の少数メーカーから購入したパーツを自分とこの理屈で組み立てているだけですので、BTOみたいに、ボディのサイズ=液晶パネルのサイズ、メモリ容量、SoCのレベルまで消費者が選択できるようにしてもらいたいですね。

    まあ個人的には、ズルトラをそのままのデザインで現役OSをサポートしてくれれば買っちゃいますけど。

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