TKG感覚としてのカルボナーラを極める
カルボナーラの由来とは
諸説あるようですが、下記の2つが有力なようです。
・第二次大戦時、アメリカ軍が持ち込んだベーコンと卵を使用し、アメリカ兵のために考案。
・炭焼き職人が考案した。
どちらにしてもけっして高級なものではなく、日本食に無理やり例えるならばTKG(卵かけご飯)くらいの気軽さなのでは無いでしょうか。
イタリアではにんにくや生クリームなどの余分な材料は使わないそうです。
材料は本場の流儀を尊重し、卵、チーズとベーコンだけで作ることにします。
カルボナーラがうまくいかない理由
カルボナーラを作る場合にうまくいかない理由は、「固まらない」あるいは「固まりすぎる」ということに尽きるでしょう。
卵が固まっていないと、ゆるすぎて麺の絡みがよくなく、コクもありません。
かといって、火を入れすぎると固まって炒り卵のようになってしまいます。
逆に言えば、卵の火の通り方が絶妙であれば、完成度は飛躍的に高まるということになります。
ネット上の数十のレシピを見てみましたが、卵をちょうど良い固さにする方法についてみたところ、だいたい下記のいずれかでした。
・弱火にして混ぜる
・火を止めて混ぜる
いずれの方法でもうまくいかず、卵が固まってしまいます。
再現可能な具体的方法が示されているとは言えません。
ソースをちょうど良い固さにする確実な方法
何度も失敗し試行錯誤しましたが、答えは意外と簡単なことでした。
卵を徐々に固めて、ちょうどいいところで止める |
ということです。
具体的な方法は以下の通りです。
1.火を止めてスパゲッティ鍋にスパゲッティと茹で汁を入れて2分待つ
2.卵液を入れ、最弱火で混ぜ続ける
3.ちょうど良いところのちょっと手前で止める
材料はどうするのか?
パンチェッタって何?ベーコンで充分
パンチェッタは塩漬けされた豚バラ肉です。
生ベーコンとも言われているそうです。
似たようなものにグアンチャーレというものがあり、これは豚ほほ肉が使用されています。
ベーコンとの違いは燻煙されていないことだそうですが、燻煙されたパンチェッタもある(情報源:Wikipedia)ということで、何だかよくわかりません。
もう一つのベーコンとの違いは、パンチェッタやグアンチャーレは塩分濃度が高いということでしょう。
冷蔵技術が発達していなかった時代は高濃度の塩分が必要だったと思われます。
仮に塩分濃度が7%だった場合、40g使用した場合の塩分量は2.8グラムにもなります。
またTKG的であるからには高価な食材を使用するもないと思い、ベーコンを使うことにします。
ちなみに落合務シェフのレシピではベーコンが使われています。
ただしブロックタイプのものを使用することとし、なるべく脂身の多いものを選びます。
生クリームも牛乳も使わない
生クリームや牛乳を使う理由は、卵を固まりにくくするため、生クリームについてはさらにコクを出すためだと思われますが、他の方法で卵を最適な状態に固めることは可能です。
牛乳を入れて作ってみたことはありますが、味としてのメリットは感じられませんでした。
生クリームに関しては、確かにコクは出るとは思いますが、主に朝食で食べることを考えるとしつこいとも言えます。
100グラムあたり400キロカロリーと非常にカロリーが高いということも気になります。
ちなみに落合務氏のレシピも生クリームや牛乳は使っていません。
チーズは粉チーズ(パルメザン)で妥協
パルメザンチーズについて調べてみたところ、イタリアのパルミジャーノ・レッジャーノを模して作ったもののようです。
味を追求するのであればパルミジャーノ・レッジャーノなどのチーズを削りたいところですが、高価であり削るのが面倒ということで、粉チーズを採用することとします。
ちなみにスライスチーズでも試してみましたが、風味が感じられず残念な結果になってしまいました。
落合務氏のレシピでは粉チーズを使っていました。
卵は1個か2個か?全卵か卵黄か?
ネット公開されているメニューは卵の使い方にも様々です。
一通り試してみました。
卵黄1 | ソースのボリュームが少ない、 |
全卵1 | ソースのボリュームが少ない |
卵黄2 | ソースのボリュームは充分あり濃厚も充分に感じられるが、卵に火が入る前に固まってしまう |
全卵2 | ソースのボリュームは充分だが、濃厚さが物足りない |
全卵1+卵黄1 | ソースのボリュームは充分、全卵2と比べて濃厚さがある |
全卵1+黄身1を採用することにしました。
卵1個分の白身を捨てることには非常な抵抗がありますので、今後白身の利用方法を考えてみたいと思います。
度々の引用で申し訳ありませんが、落合務氏のレシピでは全卵1+卵黄1を採用しています。
TKG的カルボナーラのレシピ
1.ベーコンを炒める
最弱火でベーコンを炒めます
ゆっくりと火を通すため、この作業を先行します

2.卵液を作る
・全卵1、卵黄1、粉チーズ6g、塩0.7gを合わせて混ぜておきます

3.お湯を沸かしスパゲッティを茹でる
塩分1%のお湯で茹でます。
茹で上がり後に卵液を固める時間を考え、標準茹で時間より1分短くタイマーをセットします。
茹で上がりと同時にガスの火を止めます。(鍋とフライパン両方)
4.茹で上がったスパゲッティをフライパンに入れる
水分を切らず、スパゲッティをフライパンに直接入れます。
さらに茹で汁を50cc追加します。
早い段階で茹で汁を加えるレシピもありますが、ベーコン自体の旨味が無くなってしまいます。

5.卵液を混ぜて仕上げる
2分待ちフライパンが冷めたところで、最弱火にして卵液を投入します。
待ち時間にはスパゲッティを茹でた鍋を洗うと良いでしょう。

手を止めずに混ぜます。

最初はソースが水っぽいですが、時間の経過と共に固まってきます。
フライパンを傾けてソースが流れないようになったらすぐに鍋からおろして盛り付けます。
しかしながら、初めの頃は何度やっても卵が固まりすぎてしまいました。
どうやら予熱で卵が固まってしまうようです。
火を止めてから盛り付け食べるまでの間に卵の固化が進行してしまうのです。
対策としては卵が固まる直前で加熱をやめる必要があるのですが、ここの加熱時間は弱火で1〜3分としか言うことができず、完全にマニュアル化することはできません。
試行錯誤してコツを掴むしかありません。
最後にコショウをふりかけて完成です。

ソースが濃厚で麺によく絡みます。
簡単で栄養豊富な朝ごはんとしては充分な出来だと思います。