わが心のスタ丼 〜正統的スタミナ丼の作り方〜

青春の味スタ丼

国分寺市で学生生活を送っていた頃、大盛りが名物のサッポロラーメンという店によく行きました。
ラーメン、チャーハンのほか各種丼物があり、いずれも大盛りにしても値段は大して変わらないので大盛りを頼むのが常でした。
大盛り用の器にはラーメンどんぶりが使われており、その量は並の3倍くらいのボリュームがありました。

各種大盛りメニューの中でも特に人気があるのがスタミナ丼、略してスタ丼でした。
にんにくが効いていて量が多いところは、現在で言うとラーメン二郎のような立ち位置です。
今も昔も若者は過激なものを好むのでしょう。

毎日のように食べていても飽きませんでした。

当時はまさか後に自分で作るようになるとは思っていなかったため、作っているところを観察する注意深さはありませんでしたが、その味はよく記憶しています。

マイナビニュースさんのHPより

ネットのスタ丼レシピに意義あり

社会人になると、スタ丼を食べることは無くなり、スタ丼のことは忘れていました。
今でこそ「伝説のすた丼」がチェーン展開されていますが、昭和当時スタ丼を食べられる店は国立と国分寺くらいにしかなかったのです。

ネットのレシピを見てみる

コロナ禍でヒマになり、 スタ丼を作ってみようと思い立ちましたが、「すた丼、レシピ」で検索したレシピは私の考えるものとはかなり違っていました。
検索結果の1ページ目に現れたレシピのタレの構成を表にまとめてみました。(にんにくを除く)

レシピしょうゆみりん調味料
クックパッド
クックパッド
ナディア
たなか商店
デリッシュキッチン
栄養士簡単食堂
公式サイト
味の素
ロボクッキング
りゅうじのバズレシピ
休日おうち食堂

※公式サイトは材料非公開

多くの調味料は必要無し

11レシピのうち10レシピが酒と鶏がらスープや中華系の調味料が、みりんあるいは砂糖も8レシピで使用されています。

私の考えでは醤油以外の水分が増えると水っぽくなってしまうか、炒め時間を長くした場合は肉が硬くなってしまうことになります。

うま味調味料や中華調味料も必要ありません。
醤油とにんにくだけで充分おいしい以上、余分なものはにんにくの旨味を妨げるものとなります。

肉はバラ肉一択

にんにくの強い力に対抗するためには油の多い部位が適します。
肩ロースも脂が多い部位ですが、やや上品過ぎます。

個人的には生姜焼きのは肩ロースも良いですが、すた丼にはバラ肉が合うと思います。
昔食べたものもバラ肉だったはずです。

肉をタレに漬け込む必要無し

食材をタレに漬け込む理由は2つあると思います。

一つは厚みのある肉に味を浸透させるため。
例えばチャーシューや唐揚げの加熱前の作業です。

もう一つは保存性を高めるためです。
マグロのづけや、漬物一般がそうだと思います。

生姜焼きにはいずれも必要ありません。
逆に漬け込むことにより塩分が感じにくくなるデメリットがあります。

チューブのにんにくは生にんにくとは全く別物

11のレシピ中3つのレシピがにんにくは市販のチューブのものを使用、あるいは使用可としていることが気になりました。

チューブ入りのにんにくは、一見すると生にんにくをすりおろしてチューブに入れたもののようですが、そうではありません。
でんぷん、ソルビトール、調味料、酸味料、香辛料、安定剤といった添加物が含まれています。
また店舗で常温で売られているということは熱処理をしていることになります。
ニンニクに含まれる酵素は加熱により働かなくなるため、独特の強い臭い(香り)は失われてしまいます。

チューブのにんにくは、「にんにくのようなもの」と言っていいでしょう。
よくラーメン屋のカウンターに並んでいるにんにくも同じようなものです。
生のにんにくはとても生では食べられないほど辛いものなのです。

正統派スタ丼のためにはその都度ニンニクをすりおろす作業は欠かせません。

独善的正統派スタ丼レシピ

調味料はしょうゆとにんにくだけ

1人前の材料は以下のとおりです。
酒、みりん、うまみ調味料は使いません。

・バラ肉:150g
・ネギ:1/4本
・ごはん:好きなだけ
・しょうゆ:大さじ1.5
・にんにく:1かけ
・生卵:1個

材料準備

肉が長い場合は適当に切ります。
私の場合は長いバラ肉でも半分に切るだけです。
あまり細かく切ってしまうと、食感が寂しくなります。

ネギは斜めに削ぎ切りします。
幅は5ミリ〜1センチくらでしょうか。
あまり細かくは切りません。

にんにくはすりおろし、醤油と混ぜておきます。
肉は漬け込みません。

肉とネギを焼く

油は少なめにし、強みの中火で肉を炒め、赤い色が消える直前でネギを投入します。
炒めすぎると肉が固くなります。

調味料を合わせる

ネギを15秒くら炒めたところでしょうゆとにんにくのタレを投入します。
強めの火なので炒める時間は短くてかまいません。
火力にもよりますが、私の場合は10〜20秒くらいです。
炒める時間が長いとにんにくの風味は急激に減少し、肉が硬くなります。

盛り付け

盛り付けと言っても丼に入れたごはんの上に炒めた肉を乗せ、その上に生卵を割り入れるだけです。
卵がずり落ちないように肉の中心にくぼみをつけます。
黄身だけなどというもったいないことをしてはいけません。

一つ忘れていましたが、昔食べたものはご飯の上に海苔が敷いてありました。

多数の意見が正しいとは限らない

私のレシピがベストのものだと言いきる自信はありません。
それどころか他の大多数のレシピと違っており、四面楚歌と言ってもいい状態です。

たくさんの材料を使えば、旨味の数値は高くなるかもしれません。
しかし肉そのものやにんにくの味が相対的に減少し、スタミナ丼としてのダイナミズムが失われてしまうのではないでしょうか。

多数の意見が正しいとは限りません。
ぜひこのレシピで作ってみて意見を聞かせてほしいと思います。

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わが心のスタ丼 〜正統的スタミナ丼の作り方〜” に対して2件のコメントがあります。

  1. ジュンイチ より:

    僕も国立に通ってたくちです。
    いつも作るのを見てましたが、憶えているのは肉は湯どうししてネギの後に炒めてました。最後にビール瓶に入れている特製のたれ?をかけ回して完成でしたね。あのビール瓶のタレのレシピが知りたいところです。

    1. olivegarlic より:

      コメントいただきましてありがとうございます。
      確かに本家本元がどうやっていたかは気になるところですね。
      ちなみに伝説のすた丼屋のHPで紹介されている「スタミナ焼きのたれ」の中身は「しょうゆ(国内製造)、醗酵調味液、還元水あめ、デキストリン、乾燥にんにく、はちみつ、食塩、おろしにんにく/調味料(アミノ酸等)、酢酸、ビタミンB₁、ホップ抽出物、(一部に小麦・大豆を含む)」とのことです。

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