電気ストーブを買ってはいけない 〜あまりにも高い電気代〜
このところ急激に温度が下がり、暖房器具の購入を検討している方は多いのではないかと思います。
しかし、コストに関する知識を持たずに暖房器具を買ってしまう人はあまりにも多いです。
かつての私がそうでした。
結論から言うと、すでにエアコンがある場合、エアコン以外の電気暖房器具を買うべきではありません。
電気ストーブ(エアコン以外の電気暖房全般)とエアコンではランニングコストが違いすぎるのです。
電気暖房の方式には2種類あり
1. エネルギー変換式
電気エネルギーを熱に変換する方式です。
先に電気ストーブと言いましたが、セラミックヒーター、電気ファンヒーター、オイルヒーター、赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、カーボンヒーターなども含みます。
エアコン以外の全ての電気暖房が該当します。
(ただしガスファンヒーター、石油ファンヒーターなど電気以外に燃料を使うものは省きます。)
エアコン以外の電気暖房はいずれもエネルギー変換効率が「1」を超えることはありません。
2. 熱交換式(ヒートポンプ)
もうひとつの方式はエアコンの熱交換方式です。
ヒートポンプとも言われ、暖房以外にも冷房、冷蔵、冷凍、給湯などに広く使われている技術です。
ヒートポンプは電力を熱に変換するのではなく、室外にある熱を集めることにより部屋を暖めます。
そして暖房におけるヒートポンプ(=エアコン)のエネルギー変換効率はそれ以外に比べてはるかに高いのです。
嘘だと思った方は家のエアコン室内機にある数字を確かめてみてください。
エアコン性能表示の意味
自宅エアコンの室内機を撮影したものです。
青の下線を引いたところを見ると、
定格暖房標準(消費電力):1.14kW
定格暖房標準(能力):4.2kW
となっており、これは暖房に関しては1.14kWの電力を使用して4.2kW分の仕事をしているという意味です。
1kW分の電力でどれくらいの仕事をしているか計算してみます。
4.2 ÷ 1.14 = 3.6842・・・
その数字がエネルギー消費効率=3.68倍(赤線部分)ということになります。
3.68倍!?
驚いていただけましたでしょうか?
我が家のエアコンは9年前のものですが、最近の機種ですと、「5」を超えるものが普通に売られています。
エアコンの暖房は圧倒的にコスパがいいのです。
逆に言えば、エアコン以外の暖房機はエアコンに比べて何倍もの電気代がかかるということになります。
エアコンとそれ以外のコストの差
エアコンとそれ以外の暖房コストの差を比べるため、同じ温度になるように12時間連続運転をした場合の電気料金をシュミレートしてみます。
・電気ストーブは1000Wで12時間運転した場合を計算します。
・エアコンは消費効率を考慮し、3.68分の1の271Wで運転したと仮定します。
・エアコンは過去の実験に基き起動後の1時間は3倍の電力量を使用するとし、同じ使用量となる14時間運転で計算します。
・電気料金単価は東京電力の第二段階料金(26.48円/kWh)で計算します。
電気ストーブのランニングコスト
1日の電気料金は、
1000W×12h×26.48円=317円/日
1ヶ月(30日)で9,510円
半年(180日)で57,060円
エアコンのランニングコスト
1日の電力料金は、
272W×14h×26.48円=100円/日
1ヶ月(30日)で3,000円
半年(180日)で18,000円
エアコンの方が圧倒的に電気料金が安いことがわかります。
例外になるケース
部屋にエアコンが無い
前述のシミュレーションにより、半年で39,060円の差が生じますが、住む期間が短い場合はエアコンの購入+取り付け代金が上回る場合があります。
住む期間が短い場合はエアコン以外の暖房を選ばざるを得ません。
しかし、現在ではほとんどの賃貸物件の場合には設備としてエアコンが付いています。
もしエアコンが無くて家賃が安い物件があったとしても、暖房コストが激増することを考慮する必要があります。
電気料金が高くなっても問題無い
いくら電気代がかかっても構わない場合は自由に暖房を選ぶことができます。
しかしその行為はピーク電力を押し上げ電力需給を逼迫させているのです。
地球環境や原子力発電所の稼働問題に配慮するのであれば、電力の消費は少なくするべきでしょう。
暖房器具に特別な機能を求める
例えば以下のような場合です。
・風が当たるのを避けたい
・冬は暖房、夏は扇風機として使いたい
・暖房に空気清浄機や加湿器の性能を統一したい
・空気を乾燥させたくない
反対はしませんが、電力使用料=暖房のコストが2〜3倍になることを念頭に置いて熟慮した方が良いでしょう。
まとめ
エアコンのコスパが優れていることは意外に認知度が低いようです。
メーカーや販売店がこのことを宣伝しないのは、他の暖房器具が売れなくなることを恐れているのかもしれません。
エアコンを上手に使って節電のみならず、地球環境の保全に貢献しましょう。
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トイレや洗面のように狭い場所のみ
電気ファンヒーターにしています。
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・今後一層の原油価格の高騰リスク
・転倒や火傷の恐れあり
コメントありがとうございます。
トイレや洗面など狭いところであればコストも少なくてすみますね。
私もかつて石油ストーブを使っていました。
コストや面倒という問題もありますが、今では室内で石油を燃やすのが怖くて石油ストーブは使えません。