エアコンはつけっぱなしにすべきなのか 〜暖房編〜

エアコンの圧倒的なコスパの良さ

自宅エアコン(ダイキン製2012年製造)の説明書には下記の記載があります。
(暖房部分のみ)

エアコン室内機にも同様の記載がありました。
(暖房能力ではなく定格暖房標準という言葉になっていました。)

今までこれらの数字の意味を知りませんでしたが、この度ネットで調べた答えは驚くべきものでした。

1140Wの電力で4200W分の暖房能力を発揮できるということだったのです。
エネルギー効率の3.68という数字は以下の割り算によるものです。

 4200÷1140=3.68421

言い換えると、4200W分の暖房能力を発揮するために1140Wの電力しか使わないということなのです。

ちなみに、低温になるほど効率は悪くなるようです。
同じくカタログに記されていた暖房低温能力:4.0kW、低温消費電力:1590Wから計算すると消費効率は2.51になります。
 ※通常の暖房能力は気温7度、低温の場合は2度を想定しているとのことです。

エアコン以外のヒーター系暖房機(電気ストーブ、電気ファンヒーター、オイルヒーター)についてはエネルギー消費効率が1を超えることはありません。
電力による暖房機の中では、エアコンがダントツに効率=コスパがいいのです。

このことを知った私は、30年もののデロンギを部屋の隅に押し込みました。
デロンギに電源が入ることはもうないでしょう。
(ワンチャン上に濡れタオルを載せて簡易加湿器としてありかも。)

エアコンのコスパが良い理由

エアコンとそれ以外の電気暖房は、根本的に原理が違います。

電気ヒーター:熱を作り出す
エアコン:室外にある熱を集める(ヒートポンプ式)

ヒートポンプについては下記ページが分かりやすいと思います。
https://www.daikin.co.jp/air/technology/our-technology/heatpump/

ヒーター系がゼロから熱を作り出すのに対して、ヒートポンプはすでにある熱を使うので、後者の方が効率がいいということです。
エネルギー消費効率の違いは原理の違いによるものだったのです。

暖房の設定温度は

環境庁のページによれば、暖房の設定温度を1度下げると約10%のエネルギーを削減できるとなっています。
逆に言うと、設定温度を1度上げるごとに約11.11%ずつエネルギー消費が増えることになります。

環境庁が推奨する冬の設定温度である20度を100とした場合、温度を上げていった場合のエネルギー消費量は下記の計算になります。
20度:100
21度:111
22度:123
23度:137
24度:152
25度:169
26度:188
27度:209
28度:232

例えば普段は28度に設定し、食事や買い物に出かけるたびにエアコンを消すというような使い方は、非効率な使い方ということになります。

自分の場合ですが、20度だとフリースを重ね着しても寒いので、22度に設定し、出かけるときや日当たりの良い時間は20度に下げています。

エアコンはつけっぱなしがリーズナブル

エアコンは、こまめに点けたり消したりするよりつけっぱなしの方がいいと言われています。
点けた直後に多くの電力を使うというのがその理由です。

昔のエアコンはサーモスタットのON/OFFのみ、つまり100かゼロの運転しかできなかったのですが、現在ほとんどのエアコンはインバーター式になっています。
インバーターとは必要に応じて電力使用量を変える方式のことです。

自宅エアコンの説明書を見ると、パワーセレクトという機能があり、消費電力を最大85%以内に押さえると書かれています。
1140Wからの85%ダウンは171Wになります。
ON/OFFで温度を調整するのではなく、温度に適した弱い消費電力で運転ができるのです。

仮に171Wを、1日中1ヶ月間つけっぱなしにしたとすると下記の計算になります。

171W/1000W×26.36円×24時間×30日=3,245円
(※電気料金は東京電力の第2段階使用料金による)

昨年の電気料金の高い月と安い月の差は6,000円ほどでした。
差の大半は冬のエアコン分だと思われるので、かなりの部分節約できることになります。

安定動作時の電力使用量を測定

つけっぱなしの方が節約できるのかを、さらに確かめてみようと思います。

まずは、安定動作状態のエアコンがどれくらいの電力を消費しているのか調べてみます。

ワットモニターというものを購入すべきなのでしょうが、もったいないので自宅の電気メーターで簡易的に調べることにします。
エアコン以外のコンセントを全て外して電気メーターの数字を記録し、1時間後と比べてみました。
エアコンの温度は調査開始の時点で、22度を12時間以上連続運転しています。

1時間で数字は0.1kWhだけ増えていました。
冷蔵庫のコンセントも外しているため、これ以上の調査はやめておきます。
とりあえず、1時間で0.2kWh未満であることが確認できました。
パワーセレクト時の最小電力消費量が171Wh=0.171kWhなので、辻褄は合います。

始動時の電力使用量を測定

次に、エアコンの始動直後の電力使用量を測ってみました。
これまでの調査は、一晩中つけていたときよりもエアコン始動時の電力使用量が上回るという前提だったわけです。

前夜にエアコンを消しておき、朝7時に作動を開始し、8時まで1時間の電力使用量を測ってみました。
他のコンセントは全て抜きました。

その結果、1時間の電気使用量は、0.5kWhでした。(30分経過時の途中経過は0.3kWh)
エアコンの最小電力使用量が、カタログ上最低の171W(0.171kW)だった場合、夜間6時間の使用量は少なくとも1kWhを超えてしまいます。
それに対して始動後1時間の使用量はその半分以下です。
始動後の電力量が1時間経過後もしばらくは最小にならないと思われることを考慮しても、夜間6時間の使用量の方が大きいと思われます。

1日あたりの電力使用量を比較

夜間エアコンをつけっぱなしと、消した場合の電気用金を比較すべく、電力メーターの数字を定時チェックしてみました。

測定自体はかなり正確にすることができますが、毎日の使用量にばらつきがあるので、3日間の平均を取ります。
エアコン以外の機器も普通に使った状態で、毎日同じ時刻に計測しました。

1.夜間エアコンつけっぱなしの場合

メーター数(kWh)増加量(kWh)
1日目11,675.5
2日目11,686.010.5
3日目11,697.211.2
4日目11,708.010.8
3日間平均10.83

3日間平均が1日あたり10.83kWh、30日分換算で325kWhになります。
1ヶ月分の電気料金を計算する場合には、少し面倒な計算が必要になります。
電気料金の単価は使用量が多いほど高くなるように設定されているためです。

自分が契約している東急でんきの場合、1kWhの単価は、120kWhまでが19.41円、120kWhを超えて300kWhまでは、25.88円、300kWhを超えた部分は28.43kWhとなっています。
使用量が多いほど単価が高くなっているわけです。
(他の電力会社も大差はありません。)

単価の違いを加味した推定電気料金は、下記の計算になります。

単価(円)×使用量(kWh)料金
120kWhまで(第1段階)19.41×1202329.2円
120超から300kWhまで(第2段階)25.88×1804658.4円
300kWh超(第3段階)28.43×25710.8円
30日間電気料金7698.4円

予想される1ヶ月分の電気料金は7,698円です。

昨年の最大電気料金が10,806円だったので、だいぶ少なくなるということは分かりました。

下記にて自動計算(概算)をすることができます。
電気料金計算サイト(東京電力)

2.夜間エアコンを消した場合

メーター数(kWh)増加量(kWh)
1日目11,730.8
2日目11,742.011.2
3日目11,750.68.6
4日目11,760.910.3
3日間平均10.03

30日換算で310kWhなので、夜に点けっぱなしの時より4.62%減りました。
電気料金も同様に計算してみます。

単価(円)×使用量(kWh)料金
120kWhまで(第1段階)19.41×1202329.2円
120超から300kWhまで(第2段階)25.88×1804658.4円
300kWh超(第3段階)28.43×10284.3円
30日間電気料金7271.9円

30日あたりの電気料金の減少率は5.54%です。

単価が高い第3段階の使用が減ったので、使用量よりも電気料金の減少割合が大きくなりました。

夜間はエアコンを切った方がいいようです。
仕事で出かけている期間も同様であると推測します。

こんな家ではエアコン暖房は不向き

私が現在住んでいるのは、鉄筋コンクリート造の2階部分です。
築年数は古く、サッシは2重ガラスにはなっていないものの、断熱はよく、真冬でも室温が17度より下がったことがありません。

以前住んでいた家(築45年木造)では家の中で氷が貼ることがあるほどの断熱性が低い建物でしたので、暖房は基本石油ファンヒーターを使っていました。


ここまで書いてきた節約方法は、比較的断熱の良い建物という前提に限らせていただきたいと思います。

断熱性能が低い建物の場合はエアコンで室内全体を温めようとすれば、高額な電気料金になってしまいます。
その場合には、コタツなどで部分的な暖房をするか、石油・ガスの暖房器具を使った方が良いでしょう。

結論・まとめ

  1. エアコン以外の暖房を使わない
    エアコンは他の暖房よりも数倍効率がいいのです。
  2. エアコンは基本つけっぱなしにする
    就寝中と仕事で出かける以外はエアコンを消さないようにします。
  3. 断熱の悪い建物の場合は例外
    断熱性能が悪い建物では、コタツあるいは石油・ガスを使用したほうが良いでしょう。

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