縦型洗濯機はもういらない
上下が入れ替わらない
昨年人生で4台目の洗濯機を購入しました。
これまでと同じく縦型タイプの全自動です。
使い始めてすぐに感じたことは、これまでの洗濯機と違って洗濯物が絡まないことでした。
それまで洗濯物というのはひどく絡まるものだと思っており、途中で絡まった洗濯物をほぐすことが多かったので、とても満足しました。
これまでの洗濯機と違うところはもうひとつありました。
それは洗濯中の様子を見ることができないということです。
動作中はロックがかかり、ふたが開かないのです。
調べたところ、操作パネルの特定の部分に磁石を置くとふたを開けたまま動作させられることがわかったので、洗濯の度に洗う様子を観察していたところ、ある疑問がわいてきました。
洗濯物の上下がなかなか入れ替わらない。 ちゃんと洗えてないんじゃないのか? |
例えば柔術着(柔道着と同じようなもの)を洗っているところを見ていると、襟の部分が水面から上に浮いています。
画面中心の黒いものが柔術着です。襟が弧を描いているのがわかるでしょうか。
動画はこちら
そのうち上下の洗濯物が入れ替わるだろうと思っていましたが、一向にその気配はありません。
注水が終わった直後から最後まで柔術着は一番上になったまま水面を漂ったままでした。
一番下になっている洗濯物は回転羽根に直接揉まれよく洗われることに対し、上に浮かんだままの洗濯物の洗浄力が劣ることは明らかです。
柔術着の最も汚れる部分である襟がちゃんと洗われていないことになります。
ウレタン製の靴の中敷きの場合はさらに顕著でした。
下に入れてもあっという間に浮き上がり、水面の上で踊り続けました。
遠心分離機かっ
私がこれまで縦型洗濯機に持っていた印象は、下になっている洗濯物は回転羽根の圧力により上に押し上げられることにより上下が絶えず入れ替わり、全ての洗濯物は均等に洗われるというものでした。
しかしながら、私の最新型の洗濯機はそうではないようです。
以前の動画も見て確認してみましたが、上下が入れ替わりにくいということは明白です。
上下が入れ替わるのは基本的に一度のみで、それは比重の軽いものが上に行く場合です。
一度位置が決まるとその位置関係が固定される傾向にあります。
「お前は遠心分離機かっ!」と言いたくなります。
洗濯物の上下が入れ替わりにくい理由は2つあるように思われます。
一つは洗濯羽根の動きがソフトになったことです。
そのことにより洗濯物が絡まることは無くなりましたが、上下を入れ替わらせるほどの水流も無くなってしまいました。
もう一つは洗濯機が指定する水量が少ないことです。
水量が少なければ洗濯物同士の摩擦が多くなり、下の洗濯物が上に行きにくくなります。
節水を目指した結果なのでしょうか。
縦型洗濯機は機構的に洗濯物が絡まりやすく、それを防ごうとした場合には洗濯機内の攪拌を弱くせざるを得ません。
どちらにしても洗浄力、あるいはすすぎ力にすすぎ力にムラができてしまうのが縦型洗濯機の宿命のようです。
一応対処法はあり
汚れの強いものを下に入れるということで改善される場合はあります。
柔術着を最も下に入れた場合、上に浮き上がってくるまでの間はちゃんと洗われています。
しかしそれを知らずに一番上に入れていたとしたら、柔術着の上着は一度も下に沈むことはなかったでしょう。
ウレタン製の靴の中敷きの場合はさらに浮力が大きく、洗濯機に入れただけではとても洗っているようには見えません。
そこで洗濯ネットにラクロスのボールと一緒に入れて洗うことにより多少は改善されます。
また、よくあるケースとしてシーツなどの大きな洗濯物の場合、中に空気が入り風船状になりいつまでも水面上に浮かんだままになることがあります。
そうした場合には洗濯機の動作を一度止め洗濯物の中の空気を絞り出しています。
そこまでする必要はないのかもしれませんが。
これらの対応は縦型洗濯機特有のものであり、ドラム式の場合には無縁の悩みなのです。
縦型洗濯機の方が洗浄力が高いとは言えない
「洗濯機 縦型 ドラム 洗浄力」で検索してみると、どちらの洗浄力が高いかの評価は半々くらいの印象でした。
ここではどちらの洗浄力が高いかの考察はしませんが、縦型洗濯機に洗いムラが生じやすいことは確かだと思います。
データを取って調べたわけではありませんが、水面上に顔を出しながら漂っているだけの柔術着と洗濯機の底でずっと回転羽根に揉まれている洗濯物の洗浄力が同じであるはずはありません。
明かに縦型洗濯機の方が有利な場合もあるでしょう。
汚れのひどいもの、例えば泥だらけのユニフォームを洗う場合は水量が多い方が有利だと思います。
水量が多い方が、洗濯機内の水の汚れが薄まるからです。
しかし、泥だらけのものは下洗いをするのが普通ではないでしょうか。
ドラム式が欲しい理由
以上のことから私は縦型の洗濯機には見切りを付けました。
次回買い替えの際にはドラム式を選択しようと思います。
ドラム式には数々の利点があります。
水の使用量が少ない
以下はパナソニックのHPに掲載されているドラム式と縦型の水使用量の比較です。
ドラム式 | 縦型 | |
洗濯容量 | 12kg | 12kg |
標準使用水量 | 約83L | 約150L |
1回あたりの水道代 | 約22円 | 約40円 |
この条件で毎日洗濯した場合には10年間で6万円以上の差が生じてしまいます。(18円×365日×10年=65,700円)
※水道料金は自治体により、また水の使用量により大きく異なりますので、各自治体HPでの確認が必要です。
洗いムラが起こりにくい
何度も言いますが、縦型で一番洗われているのは洗濯羽根に当たっている部分です。
もし洗濯物の上下が入れ替わらない場合、上にある洗濯物に対する洗浄力は著しく劣ることになります。
ドラム式は機構上洗濯物の絡みや洗いムラが少ないはずです。
お湯洗い機能
縦型洗濯機でもお湯で洗えるものはありますが、前述したとおり水使用量が多いため、お湯を温める時間とコストがかかりすぎます。
洗濯機内でお湯を温めるコストは大きいのです。
仮に洗濯機用の水栓にお湯の蛇口があったら解決するでしょうか。
残念ながらそうではありません。水を出し始めてからお湯になるまでの時間はが長いためお湯の温度が下がってしまい、高温のお湯で洗うのは難しいのです。
ちなみに私の自宅では蛇口を開けてからお湯になるまでも時間はおよそ35秒ほどかかります。
大きなものが洗える
もちろん洗濯機の容量以内であれば布団などの大きなものを洗うことは可能です。
しかし洗濯槽の中の折りたたまれた布団は上下が入れ替わることがありません。
洗濯羽根に当たっている下の部分はよく現れるでしょうが、上になった部分は最後まで上になってままで、水上を漂っているだけです。
場合によっては洗剤水に浸ってさえいないかもしれません。
この写真のような状態では布団全体を洗っているとは認められません。
乾燥機能はいらない
以上の理由から私は次に洗濯機を購入する場合はドラム式を選ぶつもりですが、量販店に並べらているドラム式洗濯機は例外なく乾燥機付きであり、高額でもあります。
私の場合、コスト高の原因となる乾燥機能は必要としていません。
基本外干しであり、冬は加湿のために室内干ししています。
湿度の高い梅雨時などは浴室乾燥機を使用しています。
どうしても乾燥機が必要な場合はコインランドリーに行きます。
ドラム式乾燥機の乾燥時間の長さも問題となります。
2〜3時間もかかっていたのでは複数回の洗濯をする場合に困ってしまいます。
乾燥機能の無いドラム式が無いわけではない
日本製以外ではドラム式が当たり前のようです。
ミーレ(ドイツ)、AEG(ドイツ)、アリストン(イタリア)、アスコ(スウェーデン)、ベコ(トルコ)、メイタグ(USA)などが発売されています。
ヨーロッパの製品が主流であり、いずれも高額です。
ヨーロッパの水は硬水なので、お湯で洗うニーズが高いため、必然的に水使用量が少ないドラム式が普及したと思われます。
調べてみたところ、国産でもサンヨー、アイリスオーヤマの製品には乾燥機能の無いドラム式のラインナップがありますが、まだまだ選択範囲が少ないと言えます。
縦型洗濯機はもういらない
日本の水は軟水なので、冷水でいい加減に洗ってもそこそこ汚れが落ちます。
また自治体にもよりますが水道料金が比較的安いので、大量の水を使ってもそれほど気になりません。
だからといって縦型洗濯機のような不完全なものを使い続けるというのはどうなんでしょうか?
現在の日本は、「軟水で水道代が安いんだから縦型洗濯機で充分だろう」、「ドラム式が欲しかったら高額な乾燥機付きの製品を買え」と言われているのに等しい状況です。
ドラム式の潜在的な重要は大きいのではないでしょうか。
日本の家電メーカーはそろそろ考え直す時期に来ていると思います。