酒の種別によるコストの違い
アルコール総量からコストを考える
下記の2つの選択肢があった場合、どちらを選んだ方がコスト的に得でしょうか?
ビール(瓶入り633ml)360円
ウイスキー(700ml)1,476円
例えば4人で集まって飲むことを想定してください。
「瓶4本でも1,440円だからウイスキーより安くて得」
と考えた場合は残念な結果になります。
なぜならば実際に含まれているアルコールの総量を考慮していないからです。
ビールとウイスキーのアルコール度数(以下alc.という)とアルコール総量は以下の通りです。
ビール(4本):alc.5%
アルコール総量:126.6ml(633×4×5%)
ウイスキー:alc.40%
アルコール総量:280ml(700×40%)
ビール4本分の総アルコール量はウイスキーの半分以下しか無いので、ウイスキーを飲んだ場合に比べて全然酔えないということになるでしょう。
酔うスピード、程度は酒によって違うのでは無いかと言う意見もあります。
日本酒は酔いやすいとかビールならいくらでも飲めるみたいなことですが、ここでは問題にしないことにします。
基本的な酔うメカニズムは、アルコールの血中濃度が高まることによるからです。
ちなみに下記はアサヒビールのHPから引用させていただいた表ですが、酒の種類別のほろ酔いに必要な総(純)アルコール量は全酒類ほぼ同程度の量となっています。
酒の種類 | 酒の量 | アルコール度数 | 純アルコール量 |
ビール | 500ml | 5% | 20g |
日本酒 | 180ml(1合) | 15% | 21.6g |
ウイスキー | 60ml(ダブル) | 43% | 20.6g |
ワイン | 200ml(小グラス) | 12% | 19.2g |
チューハイ | 350ml(レギュラー缶) | 7% | 19.6g |
焼酎 | グラス半分 | 25% | 20g |
それぞれの酒類のアルコール1mlあたりの単価を計算
毎月の支出のうちかなりの部分を占めている酒費を削減するヒントになるかもしれないと思い、まずは様々な酒のコストを比べてみることにしました。
各酒の単価を比較するに当たって最も公平な方法は、同じくアルコール量あたりの金額で比較することしかないと思い、代表的な酒について調べました。
つまりはどの酒が最も安い単価でアルコールを摂取できるかが分かります。
販売金額は自分が普段買っている金額、あるいはアマゾンで販売されている金額です。(2020年5月現在)
下記の式により、アルコール1gあたりの単価を計算します。
金額 ÷ 量(ml) ÷ アルコール度数(%)
- 日本酒
純米酒鼓山 alc.(14%以上15%未満)720ml 614円
614/720/0.145=5.88円/ml
アルコール度数が明示されず範囲表示のため、計算上は中間値をとって14.5%としました。
吟醸八海山 alc.15.5% 1,800ml 3,674円
3,674/1800/0.155=13.17円/ml - ワイン
alc.13% 750ml 500円
500/750/0.13=5.13円/ml
alc.13% 750ml 1000円
1000/750/0.13=10.26円/ml
alc.13% 750ml 2000円
2000/750/0.13=20.52円/ml
ワインは種類が多く、また代表的な銘柄が思いつかないので、自分がよく飲んでいるクラスのワイン(500円と1,000円)に倍数系列で2,000円の場合も想定してみました。
安いワインと安い日本酒は同程度の単価でした。 - ウイスキー
トリス alc.37% 700ml 767円
767/700/0.37=2.96円/ml
トリス alc.37% 1800ml 2161円
2161/1800/0.37=3.24円/ml
トリス alc.37% 4000ml 3972円
3972/4000/0.37=2.68円/ml
安いクラスのウイスキーは流石に安いですが、。
1800mlのものがなぜかもっとも単価が高かったです。
普段の経験から量が多いものほど単価が安いと思い込んでいますが、例外もあることを頭に入れておいた方がいいと思いました。
角瓶 alc.40% 700ml 1476円
1476/700/0.40=5.27円/ml
山崎 alc.43% 700ml 8756円
8756/700/0.43=29.09円/ml
中級クラスの角瓶の場合は安い日本酒やワインに近い単価となりました。 - ビール
スーパードライ alc.5% 350ml 204.8円(4915円/24本)
204.8/350/0.05=11.70円/ml
スーパードライ alc.5% 500ml 264.8円(6331円/24本)
264.8/500/0.05=10.59円/ml
スーパードライ alc.5% 633ml 360.6円(7211円/20本)※瓶入り
360.6/633/0.05=11.39円/ml
350mlに対して500ml入りの方が9%ほど安いのは予想通りでした。
自分はずっと缶ビールより瓶ビールの方が遥かに安いと思いこんでいたので、瓶入りの633mlの方が500ml缶にくらべて単価が高いことは意外な結果でした。
最近の瓶ビールの重要の低さが理由かもしれません。 - 発泡酒
本麒麟 alc.5% 350ml 106.0円(2,543円/24本)
106.0/350/0.05=6.06円/ml
ビールに比べて半額近いが、安いワインや中級クラスのウイスキーより高いという結果になりました。 - 缶チューハイ
檸檬堂 alc.5% 350ml 151.8円
151.8/350/0.05=8.67円/ml
こだわり酒場レモンサワー alc.5% 350ml 119.7円(2,872円/24本)
119.7/350/0.07=4.89円/ml
ここのところ最もよく飲んでいた檸檬堂の5%ですが非常に割高でした。
乗換を検討します。 - 乙類焼酎
白波 alc.25% 1800ml 1618円
1618/1800/0.25=3.60円/ml
そのまま飲むか、割ってもお湯か水なのでプラスのコストがかかりません。
芋焼酎の匂いや味が好みならおすすめです。 - 甲類焼酎
キンミヤ alc.25% 1800ml 1339円
1339/1800/0.25=2.98円/ml
キンミヤ6本セット alc.25% 1800ml 1263.3円(7580/6本)
1263.3/1800/0.25=2.81円/ml
キンミヤと言うのは居酒屋で圧倒的に人気のある焼酎です。
6本で買えば1本あたり75円安くなります。
しかし甲類のお場合後述する割りものが必要になるため、安いと判断するのはまだ早いです。
宝焼酎 alc.25% 2000ml 1045円
1045/2000/0.25=2.09円/ml
今回掲載した物の中では最も安い単価です。
しかし、こちらの場合も後述する割りものとの組み合わせで考えた方がいいと思います。
※2020年6月1日追記
マイバスケットで新商品発見
トップバリュー焼酎甲類25度 1274円
1274/2700/0.25=1.89円/ml - 焼酎の割りもの
甲類の焼酎を飲むためには通常割りものが必要です。
25%の焼酎をを5%に薄めるためには焼酎の3.75倍量の割りものが必要になります。
(下図参照)
ハイサワー alc.0% 1000ml 282円
282/1000=0.282円/ml
0.282×3.75=1.06円/ml(焼酎1mlあたりにプラスされるコスト)
ハイサワー自体の単価は安いですが、1mlの焼酎に対して1.06円のコストが加わります。
カクテスサワーレモン alc.0% 700ml 108.9円
108.9/700=0.156円/ml
0.156×3.75=0.59円/ml(焼酎1mlあたりにプラスされるコスト)
こちらの方がだいぶ安いですが、それでも1mlの焼酎に対して0.59円のコストがかかっています。
自家製酎ハイを作った場合の単価は焼酎の単価プラス割りものの単価です。
甲類の中で最も高額なキンミヤ+ハイサワーの組み合わせでは4.04円/mlでした。
最も安い宝焼酎+カクテスサワーレモンの組み合わせだと2.68円/mlとかなり差があります。
この組み合わせで発泡酒をかなり下回り、安いウイスキーと肩を並べるレベルとなります。
さらに安い炭酸水の単価は、
トップバリュー炭酸水 alc.0% 500ml 63.8円
63.8/500=0.13円/ml 0.13×3.75=0.49円/ml
宝焼酎との組み合わせでは2.58円/mlとなりました。
しかし、レモンを絞る等の別のコストがかかってくることになります。
※2020年6月1日追記
トップバリュー焼酎甲類25度との組み合わせでは2.20円/ml
安い単価の酒に関してはどの味が容認できるかとの個人的感覚により違ってくるでしょう。
割りもののところで書いた、alc.25%の焼酎を5%に薄めるためには焼酎の3.75倍が必要になると言うことを図に書いてみました。
まとめ
日本酒とワインは、品質の差以上に価格の差が大きいと感じました。
お金に余裕があれば高い酒を楽しめばいいですが、そうで無い場合は単価を知った上で選ぶのが良いことがわかりました。
ビールはやはり高い単価でした。
ビールの単価が高い最大の理由は酒税です。
350ml缶1本あたり77円(2020年5月現在)の税金がかかっています。
税金を引いてもまだ高いですが。
最近の缶チューハイはとても美味しい反面、思ったよりも高い割高でした。
缶チューハイは種類が非常に多いのでいろいろ試してみたいと思います。
焼酎の場合は割ることが多いので(甲類の場合は特に)、他の酒と比較する場合は割りもののコスト計算が欠かすことができません。
自分の場合は好きな芋焼酎のコストが比較的安かったため、芋焼酎の水割り、お湯割りを中心にし、あとは料理と気分に合わせて楽しんでいきたいと思いました。